機会があり、2022年5月のダボスでのサブイベントをいくつか参加してきましたのでステークホルダーの皆様にご報告致します。
○ダボス会議とは?
スイスの公益団体「世界経済フォーラム(WEF)」の年次総会をダボス会議と通称で呼びます。去年と今年はコロナ禍を理由に開催が見送りや延期になり2年ぶりの今回は約100カ国から約2500人の政治家や企業トップが参加しました。ただ、ウクライナ侵攻でロシアの政府関係者や企業は参加できませんでした。また主催のシュルツ博士は「世界中の経済トップが山あいの静かな場所でパーティーなどを、通じて胸襟を開いて語り合うのが目的」と発言しており、大きな経済情報ネットワーキングイベントと言えます。
○今回のテーマ
今回のテーマは「History at a Turning Point: Government Policies and Business Strategies」。訳すると「転換期を迎えた歴史」
です。コロナこやウクライナ侵攻など単なるグローバル化だけでは解決しないこのターニングポイントを歴史を踏まえて考察してみようというところでしょうか。
○2022年の経済トレンド
ダボスは毎年今年の経済が、どうなるかの予測を行い発表します。今年の経済トレンドは「前半インフレからの後半リセッション」に尽きます。多数の財務大臣が言及しており先進国だけでなく途上国もインフレからのリセッションが今年のコンセンサスです。ウクライナロシア、上海ロックダウン、エネルギー高騰、急激なロジスティクストラブルなど原因には事欠きません。問題は今年のインフレ→リセッションが世界中の共通認識であるならば、日銀がインフレではなく、量的緩和を継続すると言い切るうちは日本に資金が流れ込む可能性があります。日本を除く世界中が金利上昇になると、結果途上国の資金調達は困難になり、成長余地のある市場が縮小するというシナリオが見え隠れします。今年、途上国であるスリランカのデフォルト、ロシアも実質デフォルトであるなどがキッカケとなり外貨建て国債の多い新興国が試練の年になりそうです。
○COVIDについて
コロナに関しては、アフターでもウィズでもなく、「Past CORONA」≒「コロナは過ぎ去った」と感じました。全てのパーティー、セミナーでマスクしてる人誰もいませんし、入国時の煩雑な手続きも世界中で無くなりつつあるようです(中国除く)。話した人全員が中国のゼロコロナ政策はあり得ず、このせいで二年は復活が遅れると口を揃えてました。最早6月以降は日本でもコロナは逆戻りしないと確信しました。コロナビジネスの方は急ぎ撤退検討する必要があると思います。
○仮想通貨とブロックチェーンの熱狂
スイスの人達が熱狂を見せるのが仮想通貨とブロックチェーンです。あちこちで熱く語り合ってます。いくつもセミナー、パネルディスカッション聞きましたが、仮想通貨で税金払えるとかコンテンツ改ざん出来ないとか言ってることは分かるのですが具体的にはまだ応用事例は多く無さそうです。個人的には熱狂がビジネスモデル称賛からテクノロジ称賛に移っているのが違和感がありました。でも現地では大変な盛り上がりです。2年くらいで世界は変わるそうですし、この熱狂を見ると仮想通貨買うか悩ましい所です。日本で盛り上がるメタバースはまだスタートアップ紹介でした。
○ダボスで元気な国
このタイミングで明らかに元気があるのがインドです。コロナ前より圧倒的に開催イベント多いです。世界のITソフトインフラを支える存在になっていると感じます。面白かったのはサウジアラビア。投資家ではなく、システム会社がでてきてました。
○ウクライナ・ロシア問題
最後にウクライナ、ロシア問題ですが、ダボスは明確にロシアをejectし、ゼレンスキー氏をオープニング招待したことで本来のコンセプトであるエコノミーのグローバル化に疑問を持ったプレイヤーも多かったです。そもそもヨーロッパは皆最初は戦争を想定してなかったそうで、反動で反ロシアにまわったという話はありそうです。アメリカのエコノミストと話したのは実はバイデンさんが一番この件に関しては上手く立ち回ったかもしれない。とコメント貰いました。自国民を危険に晒さずロシアの体力を削り中国の台湾攻撃を牽制する意味合いですね。一方米はインフレ抑えで支持率も低下し、対外政策で支持率が回復しにくい状況なので、日本では薔薇色のコメントを連発し、諸々支持をとりつけたいのでは?と考えてました。アメリカとヨーロッパ、北欧、ロシア、中国の全ての思惑が影響していると問題ですがいずれにしても一年以内の短期収束は無く、落としどころが見えないと感じました。
2022年5月
ダボスより備忘録を兼ねて。
ザ・スタンド 東間AND宇都宮